111Q155第111回 薬剤師国家試験 過去問

30 歳女性。高校3 年生のときにきっかけもなく元気がなくなり、3 ケ月間 学校を休んだことがあったが、特に治療を受けずに回復した。その後は順調であっ たが、1 ケ月前に急に元気がなくなり、会社を休んだりしていた。ここ数日は「偉 大な発見をしたので、自分には特別な才能がある」と言ったり、誰彼構わず夜中に 電話をするといった状態が持続するため、母親に連れられて来院した。母親による と2 週間前から母親と話していても、話の内容が次々と脱線し、話している内容が まとまらない、些細なことを契機に怒り出すなど、普段とは異なる行動がみられ た。睡眠をほとんどとっていないが、本人は疲れを感じていない。親戚や友人への 電話で家や車の購入計画などを話し、相手が反対すると激怒するようになった。血 液生化学検査、脳画像検査、脳波検査、脳脊髄液検査で異常はない。飲酒・喫煙歴 なし。違法薬物の使用歴もない。診察の結果、患者は双極性障害と診断された。 双極性障害に用いられる薬物の薬理作用に関する記述として、正しいのはどれ か。2つ選べ。

2つ選択
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正解: 3・5

正答

3・5

この問題のポイント

双極性障害治療薬について、細胞内情報伝達、受容体作用、イオンチャネル、GABA代謝という標的を区別します。

解説

リチウムはイノシトール一リン酸分解酵素などを阻害し、遊離イノシトールを減らしてPI情報伝達系の代謝回転を抑える方向に働きます。オランザピンは主にドパミンD2・セロトニン5-HT2A受容体遮断作用をもつ非定型抗精神病薬です。アリピプラゾールはD2・5-HT1A受容体の部分刺激と5-HT2A受容体遮断作用を示します。カルバマゼピンは主に電位依存性Na⁺チャネルを使用依存的に遮断し、GABAトランスアミナーゼ阻害薬ではありません。ラモトリギンもNa⁺チャネルを遮断して興奮性伝達物質放出を抑えます。

選択肢の確認

1.炭酸リチウムは、イノシトール 1-リン酸分解酵素を阻害し、ホスファチジルイ ノシトール(PI)代謝回転を亢進させる。:誤り。酵素阻害によりPI代謝回転を抑制します。
2.オランザピンは、電位依存性 Ca 2+ チャネルの α2 δ サブユニットに結合し、興 奮性神経伝達物質の遊離を抑制する。:誤り。これはガバペンチノイド系の機序です。
3.アリピプラゾールは、ドパミン D2 受容体及びセロトニン 5-HT1A 受容体に対し て部分刺激薬として作用する。:正答。ドパミン系を安定化する方向に働きます。
4.カルバマゼピンは、γ-アミノ酪酸(GABA)トランスアミナーゼを阻害し、脳 内 GABA 量を増加させる。:誤り。その機序はビガバトリンです。
5.ラモトリギンは、電位依存性 Na + チャネルを遮断し、神経細胞の過剰興奮を抑 制する。 一般問題(薬学理論問題) 【薬理】:正答。双極性障害の維持療法などに用います。

覚えるポイント

リチウム=PI回転抑制、アリピプラゾール=D2・5-HT1A部分刺激、ラモトリギン=Na⁺チャネル遮断です。

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