110Q269第110回 薬剤師国家試験 過去問

68 歳女性。身長155 cm、体重50 kg。下腿浮腫及び尿の泡立ちを自覚する ようになり、近医を受診した。タンパク尿及び低アルブミン血症を認め、ネフロー ゼ症候群が疑われ、精査加療のため総合病院に入院となった。検査の結果、以下の 治療を開始した。 (入院時検査値) 血圧142/92 mmHg、血清総タンパク5.1 g/dL、血清アルブミン2.6 g/dL、 BUN 38 mg/dL、血清クレアチニン1.0 mg/dL、総コレステロール338 mg/dL、 LDL︲C 248 mg/dL、Na 142 mEq/L、K 4.2 mEq/L、尿タンパク(3+) (処方1 ) プレドニゾロン錠5 mg 1 回8 錠(1 日8 錠) フロセミド錠40 mg 1 回1 錠(1 日1 錠) 1 日1 回 朝食後 7 日分 (処方2 ) ピタバスタチンCa 錠2 mg 1 回1 錠(1 日1 錠) 1 日1 回 夕食後 7 日分 1 週間後、浮腫の軽減が不十分であったため、多職種によるカンファレンスで薬 剤師に意見が求められた。 治療開始後、ステロイド抵抗性との診断を受け、シクロスポリンカプセルが追加 されることになった。そのため、薬剤師は処方2 の薬剤についてフルバスタチンへ の変更を医師に提案した。その理由として正しいのはどれか。1つ選べ。

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正解: 2

正答

2

この問題のポイント

ピタバスタチンの血中濃度を左右する肝取り込みトランスポーターと、シクロスポリンの阻害作用を結び付けます。代謝酵素だけでなく、薬物の肝細胞への入口にも注目します。

解説

ピタバスタチンは血液から肝細胞へ取り込まれる際にOATP1B1などを利用します。シクロスポリンがこの肝取り込みを阻害すると、ピタバスタチンが肝内へ移行しにくくなり、血中濃度が著しく上昇します。その結果、ミオパチーや横紋筋融解症の危険が高まるため、両薬の併用は避ける必要があります。本例でフルバスタチンへの変更を提案する目的は、このピタバスタチンとの重大な相互作用を回避することです。

選択肢の確認

1.シクロスポリンがピタバスタチンの消化管吸収を阻害するため。:血中濃度低下ではなく上昇が問題で、主因は消化管吸収阻害ではありません。
2.シクロスポリンがピタバスタチンの肝取り込みを阻害するため。:正答。OATP1B1などの阻害により血中曝露が増加します。
3.ピタバスタチンがシクロスポリンの代謝を阻害するため。:問題となる向きが逆で、シクロスポリンによるピタバスタチン動態への影響です。
4.ピタバスタチンがシクロスポリンの尿細管分泌を阻害するため。:腎分泌阻害が変更理由ではありません。
5.シクロスポリンがピタバスタチンの尿細管再吸収を阻害するため。:再吸収阻害なら排泄を促す方向であり、実際の血中濃度上昇を説明できません。

覚えるポイント

シクロスポリンとスタチンの相互作用では、CYPだけでなくOATP1B1による肝取り込み阻害を確認します。

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