61PM017|第61回 作業療法士国家試験 過去問
25 歳の女性。会社員。細かいことにこだわる性格。3 年前から「自分の手が汚れ ている」と思い、繰り返し手を洗うようになった。最近は「大切なものを捨てたので はないか」と思うようにもなり、ゴミ箱を3 時間かけて点検している。仕事に遅刻 するようになったため、精神科を受診した。 この患者にみられるのはどれか。
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正解: 2
正答
2.不合理さの自覚
この問題のポイント
強迫症の診断において、患者が「無意味な考えを繰り返していること」に自覚的違和感を抱く「自我違和性」は、診断基準に含まれる重要な特徴です。この症状は、強迫観念と強迫行動の背後にある心理的葛藤を理解する鍵となります。
解説
本問の患者は、3年前から「手が汚れていれば」という強迫観念を持ち、それに伴い繰り返し手を洗う強迫行動をしています。また、最近では「大切なものを捨てたのではないか」という考えでゴミ箱を3時間点検する強迫行為が見られます。これらの行動は、通常の生活に支障をきたし、仕事への遅刻などに影響しています。
強迫症の特徴として、患者は「やり過ぎている」「バカばっかりだと思う」という不合理さの自覚を持ちます。これは、行動が「意味をもたないのにやめられない」という自我の内面的葛藤を表しており、強迫症と強迫性パーソナリティ障害を区別する重要な診断基準です。この自覚が、患者の不安や苦痛を増幅させ、日常生活に深刻な影響を及ぼします。
作業療法の観点からも、この患者は「繰り返し行動に支障がある」という点で、ADL(日常生活機能)の維持に支障をきたしており、環境調整や行動の代替を含む介入が重要です。ただし、本問では「どの症状がみられるか」という臨床的観点からの問われているため、その中で最も適切なのは「不合理さの自覚」です。
選択肢の確認
1.視線恐怖:社会的場面での不安を指すが、本症では関係なし。誤り。
2.不合理さの自覚:無意味な考えを繰り返すにもかかわらず「自分はバカだ」と自覚。正解。
3.フラッシュバック:過去の出来事を再現する症状で、PTSDに特有。誤り。
4.孤立無援になることへの恐れ:境界性パーソナリティ障害に近いが、本症の主症状ではない。誤り。
5.死んでしまうのではないかという恐れ:パニック発作時の死の恐怖で、本症には関係なし。誤り。
覚えるポイント
「無意味だと分かっているのにやめられない」=「不合理さの自覚」。強迫症の患者が持つ「自分はバカだ」という内面的認識が、診断の中心となる。