60AM017|第60回 作業療法士国家試験 過去問
11 歳の女児。不登校を心配した母親に連れられて来院した。幼少期に人見知り はせず、抱っこをせがむこともなかった。保育園では一人遊びが多かった。現在の 成績は上位。運動は苦手だがサッカー観戦は好きで、地元チームの選手の背番号と 生年月日を全て記憶している。冗談が通じずクラスで仲間外れになることがある。 この児の障害で正しいのはどれか。
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正解: 2
正答
2.感覚過敏を伴うことがある。
この問題のポイント
幼少期からの人見知りのなさ、一人遊び、特定の情報(サッカー選手のデータ)への強いこだわり、冗談の通じない、運動の苦手さなどの特徴は、自閉スペクトラム症(ASD)の典型的な行動パターンです。これらの行動様式は、ASDの診断に重要なヒントとなります。
解説
この11歳の女児は、ASDの典型的な発現様式を示しています。特に、感覚過敏(聴覚、触覚、視覚など)が高頻度に認められることが、ASDの診断基準(DSM-5)に明記されています。例えば、音に過敏に反応したり、服の質感に敏感に反応したり、環境音に不安を感じるなどの現れが、感覚処理の異常と関連しています。また、ASDでは「心の理論」(他者の感情や意図を推測する能力)の困難が特徴で、冗談が通じず、仲間外れになることが観察されます。運動の苦手さや、日常習慣の変更に抵抗を示す傾向も、ASDの「同一性保持」の特徴と関連しています。
作業療法の観点から、この児は感覚過敏をもつことにより、環境への適応が困難になる可能性があり、感覚調整や環境調整の介入が重要です。しかし、設問ではそのような具体的な行動の詳細が提示されていないため、感覚過敏が「高頻度に認められる」という事実が、診断上の根拠として最も適切です。
選択肢の確認
1.偏食はまれである。:間違っている。ASDでは感覚過敏が関連し、偏食が頻度が高い。
2.感覚過敏を伴うことがある。:正しい。ASDの典型的な症状の一つ。
3.他人の感情の変化を敏感に察知する。:間違っている。ASDでは感情の推測が困難である。
4.日常習慣の変更の受け入れが良好である。:間違っている。習慣の変更に抵抗を示す傾向がある。
5.4 ~5 歳で「サリーとアン課題」に正解することが多い。:間違っている。ASDではこの課題で誤信念を示すことが多く、正解が遅れる。
覚えるポイント
ASDの特徴として「感覚過敏・鈍麻」は診断基準に明記されており、発達段階に関わらず、環境への反応の変化が重要なヒントになります。作業療法では、感覚調整活動や環境の段階的変化を考慮した介入が有効です。