117C075|第117回 歯科医師国家試験 過去問
18 歳の女子。上顎前歯の前突感を主訴として来院した。診断の結果、マルチブ ラケット装置を用いて上顎前突の改善を図ることとした。治療中の口腔内写真 (別冊No. 31)を別に示す。 今後の治療目標として適切なのはどれか。2 つ選べ。

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正解: b・d
正答
b、d
この問題のポイント
治療中の矯正症例では、現在の左右の臼歯関係と正中偏位を読み取り、必要な片側性のスペース閉鎖と歯列正中の一致を目標にします。
解説
本症例では下顎右側臼歯を近心移動させることで、左右の空隙や臼歯関係の不均衡を改善し、上下顎歯列正中線を一致させます。片側のみの移動では固定源と反作用を考慮し、正中線がさらに偏位しないよう管理します。
大臼歯関係を一律にAngleⅠ級へすることより、抜歯部位、前歯の後退量、左右の咬合関係を含めた症例固有の治療目標を優先します。
画像の確認
実画像では、マルチブラケット治療中にも上下顎歯列の正中がずれ、下顎右側臼歯部には近心移動に使う空隙と牽引系がみられる。下顎右側臼歯を近心移動して正中を一致させる治療目標が、正答b・dを支える。
選択肢の確認
a.上顎左側臼歯の遠心移動
この条件では適切ではありません。
上顎左側臼歯の遠心移動は、本症例で残る空隙と正中偏位を改善する方向ではありません。
b.下顎右側臼歯の近心移動
正答。適切です。
下顎右側臼歯を近心移動して空隙と左右差を改善します。
c.下顎左側臼歯の近心移動
この条件では適切ではありません。
下顎左側臼歯を近心移動すると、必要な左右バランスや正中の改善に合いません。
d.上下顎歯列正中線の一致
正答。適切です。
上下顎歯列正中線を一致させることが今後の重要な治療目標です。
e.AngleⅠ級の大臼歯関係の確立
この条件では適切ではありません。
症例の抜歯・臼歯関係によってはAngleⅠ級を最終目標としないことがあり、本症例の主要目標ではありません。
覚えるポイント
- 矯正治療中は空隙、正中、左右臼歯関係を同時に評価する。
- 片側性歯牙移動では固定源管理が重要。
- すべての抜歯症例で大臼歯関係をAngleⅠ級にするとは限らない。