72PM021|第72回 臨床検査技師国家試験 過去問
健常者の尺骨神経で行った逆行性記録法による感覚神経伝導検査の記録波形(別 冊No. 5)を別に示す。 感覚神経活動電位〈SNAP〉の振幅が刺激部位によって図示するように低下する機 序はどれか。 2 つ選べ。

2つ選択
解答・解説を見る
正解: 2・5
正答
2、5
この問題のポイント
感覚神経伝導検査で、刺激距離が長くなるほど正常でもSNAP振幅が低下し得る理由を理解します。
解説
感覚神経活動電位〈SNAP〉は、多数の感覚神経線維の活動電位を加算した複合電位です。近位刺激では伝導距離が長くなるため、各線維の伝導速度差による生理的な時間的分散が増えます。波形の陽性・陰性成分が時間的にずれて重なると位相相殺が起こり、ピーク間振幅や面積が低下します。
健常者でもこの現象は生じるため、近位刺激での振幅低下を直ちに伝導ブロックと判断してはいけません。刺激条件、距離、波形面積、温度、技術的要因を総合して評価します。
画像で見るポイント
近位刺激ほど波形が幅広くなり、ピーク振幅が小さくなる変化を確認します。
選択肢の確認
1.不応期
誤りです。
不応期は同一神経線維が直前の興奮後に再興奮しにくい期間です。通常の単発刺激で刺激部位による振幅差を説明する主因ではありません。
2.位相相殺
正しいです。
各線維の波形がずれて重なり、正負の成分が打ち消し合う位相相殺によって複合電位振幅が低下します。
3.逆行性伝導
誤りです。
逆行性記録法は伝導方向を示す記録方法であり、それ自体が刺激距離に応じた振幅低下の機序ではありません。
4.伝導ブロック
誤りです。
健常者の図示された変化は生理的時間的分散と位相相殺で説明でき、病的伝導ブロックを示すとは限りません。
5.生理的な時間的分散
正しいです。
近位刺激ほど伝導距離が長く、神経線維間の速度差による生理的な時間的分散が大きくなります。
覚えるポイント
- SNAPは多数の神経線維活動電位の加算波形です。
- 近位刺激では時間的分散が増え、位相相殺で振幅が低下します。
- 正常な振幅低下と病的伝導ブロックを区別します。