38Q32|第38回 介護福祉士国家試験 過去問
Aさん(80歳、女性、要介護3)は中途障害の全盲である。介護老人福祉施設に入所している。最近、食堂の席の入れ替えがあった。Aさんは同じテーブルの利用者同士の会話を、自分に向けて話しかけられていると思って、応答した。しかし、誰からも反応はなく、Aさんは下を向いてしまった。その様子を見たB介護福祉職は、Aさんの状況に対応するために、同じテーブルの利用者にAさんの事情を話し、協力を求めた。 次の記述のうち、B介護福祉職が同じテーブルの利用者に協力を依頼した内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 3
正答
3.Aさんにもわかるように、話す相手の名前を呼んでから話しかけてほしい。
この問題のポイント
視覚情報を利用できない人が複数人の会話に参加するとき、誰に向けられた発言なのかを音声で明確にする配慮を選ぶ問題です。
Aさんが困った原因は、食堂の予定がわからないことではなく、視線や顔の向きから会話の相手を判断できず、自分に話しかけられたと受け取ったことです。
解説
見える人は、相手の視線、顔の向き、身振りなどから、誰が誰に話しているかを判断できます。全盲のAさんは、その非言語的な手がかりを利用できません。席の入れ替えによって周囲の人の位置関係も変わったため、会話の宛先がさらにわかりにくくなっています。
会話を始めるときに「Aさん、今日の献立は何でしたか」のように相手の名前を呼べば、Aさんは自分への発言かどうかを判断できます。別の利用者に話す場合も、その人の名前を先に呼ぶことで、Aさんが会話の流れをつかみやすくなります。
支援は、Aさんを食堂から遠ざけたり、周囲の会話を制限したりする方向ではなく、Aさんが同じ場で安心して交流できるよう環境を調整する方向で行います。本人の事情を周囲に伝えるときは、必要な範囲にとどめ、Aさんの意向やプライバシーにも配慮します。
介護実践でのポイント
視覚障害のある人に声をかけるときは、前方から近づき、相手の名前を呼び、自分も名乗ります。触れて誘導する必要がある場合は、突然触らず、先に説明して本人の希望する方法を確認します。
選択肢の確認
1.Aさんは疲れているので、部屋で休むように伝えてほしい。
誤り。
事例には、Aさんが疲れているという情報はありません。会話の宛先を判断しにくいという環境上の問題を解決せず、食堂での交流機会を奪う対応になります。
2.Aさんは不安なので、そっと手を握ってほしい。
誤り。
本人の同意なく突然触れると驚かせることがあります。また、手を握るだけでは、誰に向けられた会話なのかという問題は解決しません。
3.Aさんにもわかるように、話す相手の名前を呼んでから話しかけてほしい。
正しい。
発言の前に相手の名前を呼ぶことで、視線を確認できないAさんにも会話の宛先が伝わり、安心して参加しやすくなります。
4.Aさんが混乱するので、食堂での会話は控えてほしい。
誤り。
周囲の会話を制限すると、Aさんを含む利用者の交流や楽しみを損ないます。会話をなくすのではなく、誰に話しているかを言葉で明確にします。
5.Aさんは施設の予定がわからないので、これから食事だと教えてほしい。
誤り。
事例で困っているのは施設の予定ではなく、同じテーブルでの会話の相手がわからないことです。これから食事だと伝えても、会話の宛先は明確になりません。
覚えるポイント
視覚障害のある人との会話では、「相手の名前を呼ぶ」「自分も名乗る」「位置や方向を具体的に伝える」が基本です。
視覚情報を音声情報に置き換えることで、本人が同じ場に参加しやすくなります。
交流を制限するのではなく、環境と伝え方を調整します。