36Q77第36回 介護福祉士国家試験 過去問

介護コミュニケーション技術

Fさん(70歳、女性)は、最近、抑うつ状態(depressive state)にあり、ベッドに寝ていることが多く、「もう死んでしまいたい」とつぶやいていた。 Fさんの発言に対する、介護福祉職の言葉かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

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正解: 2

正答

2.「とてもつらいのですね」

この問題のポイント

「もう死んでしまいたい」という発言を、励ましや話題転換で打ち消さず、本人が感じている苦痛を共感的に受け止める問題です。

「とてもつらいのですね」は、Fさんの気持ちを決めつけたり否定したりせず、さらに話せるようにする受容的な言葉かけです。

解説

Fさんには、ベッドに寝ていることが多いという活動性の低下と、「もう死んでしまいたい」という自殺念慮を疑う発言があります。このような発言を軽く扱ったり、「頑張って」と励ましたりするのではなく、まず本人のつらさを受け止め、落ち着いて話を聴く必要があります。

受容とは、自殺を肯定することではありません。本人が今感じている苦痛を否定せず、「それほどつらいのですね」と理解しようとする姿勢を示すことです。気持ちを受け止めてもらうことで、本人は苦しさや背景を話しやすくなります。

その後は、「今も死にたい気持ちはありますか」「具体的な方法や時期を考えていますか」など、安全を確認するために率直に尋ねます。切迫した危険が考えられるときは一人にせず、安全を確保して速やかに上司、看護職、医師などへ報告し、施設の緊急時対応手順に従って救急要請などの必要な対応へつなげます。

ひっかけポイント
「元気を出して」「気分転換しましょう」という言葉は善意であっても、最初の応答としては本人の苦痛を置き去りにすることがあります。まず受容と傾聴、その後に安全確認と連携です。

介護実践でのポイント
「死にたい」という発言を秘密にすると約束したり、介護福祉職一人で抱え込んだりしてはいけません。本人のそばで落ち着いて聴き、発言内容、表情、行動、具体的な計画の有無などを正確に共有します。切迫した危険がある場合は、施設の緊急時対応手順に従い、救急要請などを含む迅速な支援へつなげます。

選択肢の確認

1.「落ちこんだらだめですよ」
誤りです。
落ち込んでいることを否定する言葉であり、Fさんが「気持ちをわかってもらえない」と感じる可能性があります。抑うつ状態を本人の努力不足として扱ってはいけません。

2.「とてもつらいのですね」
正しいです。
Fさんの苦痛を言葉にして受け止める共感的な応答です。本人が気持ちや状況をさらに話せる関係をつくり、安全確認や必要な支援へつなげられます。

3.「どうしてそんなに寝てばかりいるのですか」
誤りです。
責められているように受け取られやすく、「死んでしまいたい」という重大な訴えにも応答していません。抑うつ状態では意欲や活動性が低下することがあり、怠けていると決めつけてはいけません。

4.「食堂へおしゃべりに行きましょう」
誤りです。
本人の希望に沿った活動を後から提案することはありますが、この時点ではFさんの苦痛と自殺の危険性を確認することが優先されます。話題転換だけで発言を終わらせてはいけません。

5.「元気を出して、頑張ってください」
誤りです。
励ましが「これ以上頑張れない自分はだめだ」という負担や自責感につながることがあります。まず、現在のつらさを否定せずに聴くことが必要です。

覚えるポイント

「死にたい」という発言は軽視せず、自殺の危険を示すサインとして受け止めます。

最初に本人の苦痛へ共感し、落ち着いて話を聴きます。

受容は自殺への同意ではなく、本人が感じているつらさを否定しないことです。

励まし、説教、批判、安易な話題転換は避けます。

具体的な計画や手段の有無を確認し、安全確保と多職種への報告を行います。

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