113AM049|第113回 看護師国家試験 過去問
A さん(86 歳、女性)は、生まれ育った地域で、近所に住む友人と交流しながら 1人で暮らしていた。買い物へ行く途中に転倒し、腰椎圧迫骨折で入院 lumbar compression fracture 治療を受け た。退院後は他県に住む長女夫婦と同居している。暮らし始めて間もなく、A さ んは「私はここで暮らして、新しい友人ができるかしら」と長女に訴えるようにな り、徐々に口数が少なくなった。 このときのA さんの状況はどれか。
解答・解説を見る
正解: 4
正答
4.リロケーションダメージ
この問題のポイント
高齢者が住環境を変更した際に生じる心理的・身体的不調を理解し、その特徴と他の状況との区別を正しく識別できるか。特に、環境変化による社会的喪失や不安、行動の減少を「リロケーションダメージ」として捉える力が問われている。
解説
Aさんは、長年暮らしていた地域を離れ、他県に住む長女夫婦と同居したばかりで、新しい環境への適応に困難を感じている。新しい友人との交流を求める発言から、心理的不安が現れ、徐々に口数が減っていることから、環境変化に伴う心身の不調が見られる。これは「リロケーションダメージ」という概念に該当する。移住や移転によって喪失したのは、地域の知人・生活のルーティン・日常のつながりであり、その喪失が不安や抑うつ、活動減少を引き起こす。この状態は、単なる不活動や生活習慣の乱れではなく、社会的・心理的つながりの喪失によるものである。
選択肢の確認
1.閉じこもり:活動範囲が狭く、口数が減っているが、新しい友人を求める発言があることから、閉じこもりとは異なる。
2.廃用症候群 disuse syndrome:身体的不活動による筋萎縮などではなく、心理的要因による行動の減少である。
3.セルフ・ネグレクト:清潔や食事の放棄などの生活行動の欠如ではなく、環境変化への不安が主因。
4.リロケーションダメージ:住環境の変化に伴う社会的喪失と不安の現れで、設問の描写に完全に一致。
覚えるポイント
「移住=不安」「新しい環境=友人探し」「口数減少=心理的喪失」を結びつける。リロケーションダメージは、環境変化に伴う「心の喪失」を理解することが鍵。家族や看護師が早期に支援を提供することで、適応を促す。