61AM019第61回 理学療法士国家試験 過去問

70 歳の男性。陳旧性心筋梗塞。独居生活をしていたが、定期検査のため内科病 棟に1 週間入院したところ、入院前に比べて階段昇降ができなくなり、歩行距離も 30 m 程度まで低下した。 この状態の説明で最も適切なのはどれか。

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正解: 2

正答

2.HAD〈Hospitalization Associated Disability〉

この問題のポイント

入院をきっかけに、既にできる生活機能(階段昇降、歩行)が低下した場合、その状態は「入院関連機能障害(HAD)」に該当する。特に高齢者では、安静状態が長期間続くことにより、機能の急速な低下が見られる。これは原疾患の悪化(AE)ではなく、入院環境による「廃用」の結果であるため、HADが最も適切な説明となる。

解説

70歳の男性が陳旧性心筋梗塞の経過で独居生活をしていたが、内科病棟入院中に「階段昇降ができず」「歩行距離が30mまで低下」という変化が見られた。この変化は、入院前に実施できていた日常生活動作(ADL)の低下であり、入院中に安静・不動が続くことによる機能の喪失を示している。

このような状態は、HAD(Hospitalization Associated Disability) と呼ばれる。HADは、入院をきっかけに、生活機能や移動能力が低下する現象で、特に高齢者や慢性疾患を持つ患者において頻発する。治療的介入としては、早期に座位・歩行訓練を導入し、廃用予防を行うことが重要である。

他の選択肢と比較すると:

  • AE(急性増悪)は、原疾患の悪化を意味するが、本問では心筋梗塞の増悪ではなく、入院による機能低下である。
  • ICU-AWは集中治療中における筋力低下であり、本問ではICU入院が無いため不適切。
  • NYHA Iは心機能が正常な状態(活動に制限なし)を示すが、歩行距離の低下はその対照的状態。
  • PICSはICU退院後の合併症であり、本問の設定には該当しない。

選択肢の確認

1.AE〈acute exacerbation〉:原疾患の悪化を意味するが、本問では心筋梗塞の増悪ではなく、入院による機能低下。→ 適切でない。
2.HAD〈Hospitalization Associated Disability〉:入院に伴う機能低下の現象。本問の状況に完全に該当。→ 正しい。
3.ICU-AW:集中治療中の四肢のびまん性筋力低下。本問ではICU入院なし。→ 適切でない。
4.NYHA 心機能分類 Ⅰ:身体活動に制限がない状態。歩行30mまで低下しているため不適切。→ 適切でない。
5.PICS〈Post Intensive Care Syndrome〉:ICU退院後の合併症。本問ではICU経過なし。→ 適切でない。

覚えるポイント

「入院でできなくなったこと」=HAD。
「原疾患の悪化ではない」=HADが適切。
高齢者での入院関連機能低下は、理学療法士が早期に評価・介入すべき重要な課題である。

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