111Q265|第111回 薬剤師国家試験 過去問
57 歳女性。身長 161 cm、体重 60 kg、体表面積 1.562 m 57 歳女性。身長 161 cm、体重 60 kg、体表面積 1.562 m 敏症あり。HER2 陽性の再発乳がんと診断され、多発骨転移及びリンパ節転移を認 めたため、外来で抗 HER2 療法を含む化学療法(トラスツズマブ+ペルツズマブ +ドセタキセル)が以下のレジメンで開始されることとなった。併せて処方1 も開 始されることになった。この患者に対するレジメン及び処方について、カンファレ ンスが開かれた。 (初回コース:トラスツズマブ+ペルツズマブ+ドセタキセル療法レジメン) 一般名 標準投与量 投与速度 投与日 投与期間 トラスツズマブ 8 mg/kg 90 分 Day 1 3 週毎 ペルツズマブ 840 mg/body 60 分 ドセタキセル (注) 75 mg/m 2 60 分 (注:ドセタキセルはエタノール無添加の製剤を使用) (処方1 ) デノスマブ(遺伝子組換え)皮下注(120 mg/1.7 mL) 1 バイアル 1 回 120 mg 皮下注射 この患者に使用される薬物の作用機序で、副作用の発現にも関連しているのはど れか。2つ選べ。
解答・解説を見る
正解: 1・4
正答
1・4
この問題のポイント
レジメン中のドセタキセルとデノスマブについて、治療標的への作用が末梢神経障害や低Ca血症などの副作用へつながる理由を確認します。
解説
ドセタキセルはチューブリンに結合して微小管を安定化し、脱重合を阻害します。腫瘍細胞では有糸分裂を停止させますが、神経細胞では微小管に依存する軸索輸送も障害されるため、しびれなどの末梢神経障害に結び付きます。デノスマブはRANKLへ結合し、RANKとの相互作用を遮断して破骨細胞の分化・活性化・生存を抑えます。骨吸収低下により低Ca血症を起こし得るほか、顎骨壊死にも注意します。トポイソメラーゼⅠ阻害、CD20結合、VEGFR結合は、それぞれこのレジメンに含まれない別の抗がん薬の機序です。
選択肢の確認
1.神経細胞の軸索輸送に関わる微小管の脱重合を阻害する。:正答。ドセタキセルの作用で、末梢神経障害にも関係します。
2.DNA トポイソメラーゼⅠを阻害し、アポトーシスを誘導する。:誤り。イリノテカンなどの機序です。
3.B 細胞上の CD20 に結合し、B 細胞の機能を低下させる。:誤り。リツキシマブなどの機序です。
4.RANKL(NF-κB 活性化受容体リガンド)に結合し、破骨細胞の分化を阻害す る。:正答。デノスマブの作用です。
5.血管内皮細胞上の血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)に結合し、血管新 生を阻害する。:誤り。ラムシルマブなどの機序です。
覚えるポイント
ドセタキセルは微小管を固定して分裂と軸索輸送を障害し、デノスマブはRANKLを中和して破骨細胞を抑えます。