111Q204|第111回 薬剤師国家試験 過去問
60 歳女性。近医にて3 年前から2 型糖尿病、高血圧症、昨年から変形性左 膝関節症と診断され、以下の処方1 ~3 の薬剤で治療している。今年、脳ドックを 受けたところ脳腫瘍の疑いを指摘された。通常の MRI 検査を実施した後、さらに 精査目的でガドテル酸メグルミン注射液を用いた造影 MRI 検査を総合病院に入院 して行うこととなった。また、貧血予防でサプリメント(鉄)を2 年間継続的に服 用している。服薬アドヒアランスに問題ないことから、入院中は処方1 ~3 とサプ リメント(鉄)は自己管理となった。 (処方1 ) アムロジピン錠5 mg 1 回1 錠(1 日1 錠) シタグリプチンリン酸塩錠 50 mg 1 回1 錠(1 日1 錠) 1 日1 回 朝食後 28 日分 (処方2 ) メトホルミン塩酸塩錠 250 mg 1 回1 錠(1 日2 錠) 1 日2 回 朝夕食後 28 日分 (処方3 ) ロキソプロフェン Na テープ 50 mg(7 × 10 cm 非温感) 4 袋(7 枚/袋) 1 回1 枚 左膝に貼付 (造影 MRI 検査前日の検査値) 血圧 143/83 mmHg、AST 34 IU/L、ALT 34 IU/L、γ-GTP 43 IU/L、 eGFR 54 mL/min/1.73 m 2、HbA1c 7.0% この患者に行う造影 MRI 検査に関する記述として、正しいのはどれか。2つ選 べ。
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正解: 1・4
正答
1・4
この問題のポイント
MRIの核磁気共鳴の条件と、ガドリニウム造影剤の化学形・緩和時間への作用を、核医学検査と混同せず整理します。
解説
スピン1/2をもつ水素原子核は、強い静磁場内で磁場に平行・反平行の二つのエネルギー準位に分かれます。両準位のエネルギー差に一致するラーモア周波数のラジオ波を照射して共鳴・励起させるので、単にそれより高い周波数ならよいわけではありません。ガドテル酸メグルミンは放射性核種を含む放射性医薬品ではなく、常磁性Gd³⁺を安定な配位子で包んだキレート化合物です。周囲の水プロトンの緩和時間、とくにT1を短縮して信号強度差を大きくし、組織・病変のコントラストを増強します。
選択肢の確認
1.生体内の水素原子核(プロトン)は、強力な外部磁場中で2 つのエネルギー準 位に分裂する。:正答。核磁気共鳴の基礎です。
2.ラーモア周波数よりも高い周波数のラジオ波を照射すると、プロトンは基底状 態から励起状態に遷移する。:誤り。共鳴にはラーモア周波数との一致が必要です。
3.造影剤は放射性医薬品である。:誤り。常磁性のガドリニウム造影剤です。
4.造影剤はガドリニウムイオン(Gd 3+)のキレート化合物である。:正答。遊離Gd³⁺を配位子で安定化しています。
5.造影剤はプロトンの緩和時間を延長することにより、画像のコントラストを高 める。:誤り。緩和時間を短縮します。
覚えるポイント
MRIは静磁場+ラーモア周波数のラジオ波。Gdキレートは放射性ではなく、緩和時間を短縮します。