110Q241|第110回 薬剤師国家試験 過去問
2 歳8 ケ月女児。1 週間前から腹痛を訴えることがあり、今朝になって、 嘔吐したため、近医を受診した。母親からの聞き取りでは、日頃から鉛を含む金属 製アクセサリーを舐める癖があり、誤飲したおそれがあるとのことであった。レン トゲン検査では異物は見当たらなかった。尿中のδ︲アミノレブリン酸濃度は 10 mg/L と高値であった。また、血液検査では有核赤血球数の増加がみられ、赤 血球遊離プロトポルフィリン濃度は180 μg/dL(基準値30~86 μg/dL)、原子吸光 光度計で測定した血中鉛濃度は75 μg/dL であった。 ヘムの生合成経路を表した下図中の1 ~5 のうち、この女児の中毒原因物質に よって抑制される反応はどれか。2つ選べ。 O CO2H CO2H S CO2H CoA 1 2 3 O CO2H H2N スクシニルCoA N H2N δ︲アミノレブリン酸 H CO2H H2N ポルフォビリノーゲン グリシン CO2H CO2H CO2H CO2H CO2H CH3 HO2C HO2C H3C CO2H CO2H CO2H NH HN NH HN NH HN HO NH HN NH HN NH HN HO2C H3C CH3 CO2H HO2C CO2H HO2C CO2H HO2C CO2H HO2C CO2H ヒドロキシメチルビラン ウロポルフィリノーゲンⅢ コプロポルフィリノーゲンⅢ CH2 CH2 CH2 CH3 CH3 CH3 H3C H3C H3C CH2 CH2 N CH2 N NH HN HN N 4 5 Fe(Ⅱ) NH HN NH N N N H3C CH3 H3C CH3 H3C CH3 HO2C CO2H HO2C CO2H HO2C CO2H プロトポルフィリノーゲンⅨ プロトポルフィリンⅨ ヘム

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正解: 2・5
正答
2・5
この問題のポイント
鉛はヘム合成経路のδ-ALAデヒドラターゼとフェロケラターゼを阻害します。図では反応2と5です。
解説
反応2は2分子のδ-アミノレブリン酸からポルフォビリノーゲンを作る反応で、δ-ALAデヒドラターゼが触媒します。鉛によりこの酵素が阻害されるため、尿中δ-ALAが増えます。反応5はプロトポルフィリンIXへFe2+を挿入してヘムを作る反応で、フェロケラターゼが触媒します。この阻害により赤血球遊離プロトポルフィリンが増加します。反応1はALA合成酵素、3はポルフォビリノーゲンから直鎖状テトラピロールへ進む初期縮合段階、4はプロトポルフィリノーゲンIXの酸化で、鉛中毒の代表的な二標的ではありません。
選択肢の確認
1.選択肢1(画像参照):スクシニルCoAとグリシンからδ-ALAを作る反応です。
2.選択肢2(画像参照):正答。δ-ALAデヒドラターゼが鉛で阻害されます。
3.選択肢3(画像参照):ポルフォビリノーゲン以後の環形成過程で、代表標的ではありません。
4.選択肢4(画像参照):プロトポルフィリノーゲンIXの酸化です。
5.選択肢5(画像参照):正答。フェロケラターゼによるFe2+挿入が阻害されます。
覚えるポイント
鉛中毒ではALAデヒドラターゼ↓→尿中ALA↑、フェロケラターゼ↓→遊離プロトポルフィリン↑です。