110Q215第110回 薬剤師国家試験 過去問

52 歳男性。身長167 cm、体重56 kg。最近、右首のくぼみあたりに腫れや しこりがあり、近医を受診した。医師の診察により、頸部リンパ節腫大を認めたた め、医師は精査目的で地域医療支援病院の血液内科を紹介した。病変部位の生検の 結果、ホジキンリンパ腫と診断された。3 日後からABVD 療法を開始する予定で ある。 (ABVD 療法) 投与 投与 投与量 時間 スケジュール (処方1 )ドキソルビシン塩酸塩注射用 25 mg/m 2/day 30 分 day 1,15 (処方2 )ブレオマイシン塩酸塩注射用 10 mg/m 2/day 30 分 day 1,15 (処方3 )ビンブラスチン硫酸塩注射用 6 mg/m 2/day 15 分 day 1,15 (処方4 )ダカルバジン注射用 375 mg/m 2/day 60 分 day 1,15 1 コースは28 日間で、4 コースを実施する。なお、4 コース実施後にISRT (病巣部放射線照射療法)を施行予定 処方4 の薬物はプロドラッグであり、代謝物がDNA と共有結合を形成して抗腫 瘍効果を示す。以下の代謝経路に示す化合物のうち、DNA 塩基による求核置換反 応を受け、薬効を示す活性本体として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。 NH N NH N 生体内酸化 O N N O N N NH2 N CH3 NH2 N CH3 H3C OH A 処方4 の薬物 O H H B D + H3C N N NH N NH N O NH2 O HN N NH2 NH2 N CH3 E C (Dの対アニオンは省略している。)

110Q215の問題画像
解答・解説を見る

正解: 4

正答

4

この問題のポイント

ダカルバジンは代謝でメチルジアゾニウムイオンを生じ、この強い求電子種がDNA塩基をメチル化します。

解説

ダカルバジンは肝で酸化されてヒドロキシメチル体Aとなり、脱メチル化に伴いホルムアルデヒドBとMTICに相当する化合物Cを生じます。Cは分解してAICに相当する化合物Eと、メチルジアゾニウムイオンDを生じます。Dは正電荷をもつ強い求電子種で、DNA塩基上の窒素・酸素などの求核部位から攻撃を受け、メチル基を転移して共有結合性DNA損傷を形成します。したがって、DNA塩基による求核置換を直接受ける活性本体はDです。A・Cは前駆中間体、BとEは共生成物で、直接のアルキル化本体ではありません。

選択肢の確認

1.A:ヒドロキシメチル化された代謝中間体です。
2.B:副生するホルムアルデヒドで、図の活性本体ではありません。
3.C:さらに分解して活性求電子種を生じる前駆体です。
4.D:正答。メチルジアゾニウムイオンがDNAをメチル化します。
5.E:分解後に残るアミノイミダゾールカルボキサミドで、アルキル化種ではありません。

覚えるポイント

ダカルバジン→MTIC→メチルジアゾニウムイオン→DNAメチル化、の順を押さえます。

110Q214110Q216
学習アプリでこの問題を解く(記録・メモ・カード化)