109Q243第109回 薬剤師国家試験 過去問

ある市立中学校で、線状降水帯による大雨のため床下浸水の被害が発生 し、休校となった。この学校では、市から供給される水道水のみを水源とし、地下 の受水槽に一旦貯めたのちに、高置水槽に揚水して給水栓に飲料水を供給してい る。学校を再開するにあたり、臨時検査として給水栓の飲料水の水質を検査するこ とになり、学校薬剤師が以下の項目について検査を行った。 検査項目: 一般細菌、大腸菌、塩化物イオン、全有機炭素(TOC)の量、pH 値、 味、臭気、色度、濁度及び遊離残留塩素 下表は学校薬剤師が採水時に測定した項目及び検査機関で測定した項目の検査結 果である。直近の定期検査は災害の2 ケ月前に実施したものである。 検査結果 検査項目 直近の定期検査 臨時検査 一般細菌 不検出 2,800 個/mL 大腸菌 不検出 不検出 塩化物イオン 12.4 mg/L 31.0 mg/L 全有機炭素(TOC) 0.52 mg/L 0.68 mg/L pH 値 7.2 6.5 味 異常なし 異常なし 臭気 異常なし 異常なし 色度 1 度未満 1 度未満 濁度 0.1 度未満 0.6 度 遊離残留塩素 0.3 mg/L 0.05 mg/L この検査結果から、薬剤師が学校に報告する内容として適切なのはどれか。2つ 選べ。

2つ選択
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正解: 1・5

正答

1・5

この問題のポイント

災害前後の変化と水質基準を比較します。一般細菌の著増と残留塩素不足から受水槽汚染を疑います。

解説

臨時検査では一般細菌2,800個/mLと著しく増え、濁度・塩化物イオンも上昇し、床下浸水後という状況から、地下受水槽へ汚染水が流入した可能性があります。一方、大腸菌は不検出なので、塩化物イオン増加だけからし尿汚染と断定できません。TOC 0.52~0.68 mg/Lは低値で、検出自体は有機物ゼロでないことを示すだけで藻類汚染の証拠ではありません。pH 7.2から6.5への低下は次亜塩素酸HOClの割合を増やし、消毒力を弱める方向ではありません。給水栓の遊離残留塩素0.05 mg/Lは通常求められる0.1 mg/L以上を満たさず、飲用に適しません。

選択肢の確認

1.臨時検査において一般細菌が検出されていることから、地下の受水槽に汚染さ れた雨水などが流入したおそれがある。:正答。災害状況と著増から疑います。
2.塩化物イオン濃度と大腸菌の検査結果から、地下の受水槽がし尿で汚染された おそれがある。:大腸菌不検出で、し尿汚染とは断定できません。
3.定期検査及び臨時検査のいずれにおいてもTOC が検出されていることから、 災害の前から高置水槽で藻類による汚染が発生していたと考えられる。:TOC検出だけでは判断できません。
4.定期検査の結果と比較して、臨時検査ではpH 値が低下しているため、遊離残 留塩素の消毒効果が減弱したと考えられる。:低pHではHOCl割合が増えます。
5.臨時検査において遊離残留塩素が学校環境衛生基準を満たしていないため、飲 料に適さない。:正答。0.05 mg/Lは不足です。

覚えるポイント

給水栓の遊離残留塩素は0.1 mg/L以上。災害後は受水槽の点検・清掃・再消毒と再検査を行います。

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