61PM015|第61回 作業療法士国家試験 過去問
24 歳の女性。2 年前、大学卒業時に統合失調症で3 か月間入院した。退院後、 アルバイトを転々とし、1 年前に再発し入院した。退院後はデイケアに通所し、就 労準備プログラムに参加した。作業でのケアレスミスが多く見られ、スタッフとの 面談で「作業を説明されても途中から理解できなくなる。働く自信がない」と語っ た。 この患者の評価で最も適切なのはどれか。
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正解: 2
正答
2.BACS
この問題のポイント
統合失調症患者における「説明を受けた後も理解が途切れる」「ケアレスミスが多い」という症状は、認知機能の障害を示唆する。特に注意、記憶、遂行機能などの高次認知機能の低下が就労困難の背景にある場合が多く、その評価に適した専門ツールが求められる。
解説
この患者は、統合失調症の再発経過を経ており、退院後の就労準備段階で作業中のケアレスミスが頻発、説明を受けた後も理解が途切れるという点が重要である。これは「認知機能の維持・遂行に課題がある」という臨床的背景を示しており、その評価にはBACS(統合失調症認知機能簡易評価尺度)が適している。BACSは、言語記憶、ワーキングメモリ、注意、遂行機能、言語流暢性などの神経認知機能を包括的に評価できる専用ツールであり、統合失調症患者における認知障害の診断・介入計画の立案に有効である。
一方、他の選択肢は就労準備の段階で用いられるが、認知機能の評価目的には向かない。例えば、RASは社会的役割の把握、VPIは職業興味の把握、意志質問紙は動機づけの評価、役割チェックリストは役割認識の把握に適しており、いずれも「認知機能の評価」という目的には該当しない。
選択肢の確認
1.RAS:社会的役割の評価ツール。認知機能評価には使用しない。
2.BACS:統合失調症の認知機能(注意・記憶・遂行機能など)を評価。最も適切。
3.意志質問紙:動機づけ・意欲の評価。認知機能とは無関係。
4.VPI 職業興味検査:職業への興味を把握。認知機能とは異なる評価項目。
5.役割チェックリスト:役割認識の把握。認知機能の評価とは異なる目的。
覚えるポイント
「統合失調症+認知機能の問題」が背景にある場合、まず「BACS」を想起すべき。作業療法士が就労準備プログラムにおいて、患者の認知的課題を正確に把握するための最初のステップとして、BACSの使用が適切である。