59PM014|第59回 作業療法士国家試験 過去問
58 歳の男性。アルコール依存症。長年、製造業に従事し晩酌を欠かしたことは なかった。徐々に飲酒量が増え、連続飲酒で入退院を繰り返している。今回 Wernicke 脳症のため入院となり、その後Korsakoff 症候群が残遺した。状態が安 定したため作業療法が処方された。 この患者に出現する可能性が高い症状はどれか。
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正解: 4
正答
4.記銘力障害
この問題のポイント
アルコール依存症でWernicke脳症からKorsakoff症候群に移行した患者において、作業療法介入を検討する際、最も顕在化する機能障害は「記銘力障害」である。これは、新しい情報の記憶形成が困難な「前向性健忘」として現れ、日常生活における作業遂行やADL(日常生活活動)の維持に直接影響を与える。
解説
Korsakoff症候群は、長期的なアルコール飲酒によるビタミンB₁(チアミン)欠乏が原因で発症する神経精神障害である。本問では、Wernicke脳症の経過後、Korsakoff症候群が残遺していることから、その典型的な症状が問われている。この症候群の中心的な症状は「前向性健忘」(新しい記憶の形成が困難)であり、これは「記銘力障害」と同義である。患者は過去の記憶は保有できるが、最近の出来事や新しい情報の記憶が困難になるため、作業療法では情報の再確認や記憶補助的な介入が重要となる。
作業療法では、記憶の補完や環境調整を通じて、患者が自らの行動を再構成できるように支援することが求められる。特に、新しい物事を記憶できないことから、ADLの遂行(例:薬の服用、医療指示の確認)においては、外部の記憶補助(例:チェックリスト、スケジュール表)が有効である。
選択肢の確認
1.観念奔逸:躁状態に見られる思考の飛躍で、Korsakoff症候群とは関係ない。
2.体感幻覚:身体内部の異常感覚で、統合失調症や離脱症に見られるが、本症では出現しない。
3.不安発作:飲酒離脱初期に現れるが、現在の安定状態では出現しない。
4.記銘力障害:正しい。Korsakoff症候群の核心症状で、新しい記憶の形成が困難。
5.フラッシュバック:PTSDに特有で、アルコール性脳症とは無関係。
覚えるポイント
「Wernicke → Korsakoff」の流れで、最初は意識障害・眼球運動障害、その後「記憶が作れない」という特徴を覚えておく。作業療法では、記憶の補助を介して生活機能を維持することが第一の課題となる。