119D042|第119回 歯科医師国家試験 過去問
18 歳の女子。開鼻声を主訴として来院した。他院で左側唇顎口蓋裂の診断下に 治療を行っていたという。軟口蓋の長さや形態は良好である。口腔内写真(別冊 No. 8A、B)、発声時の検査の写真(別冊No. 8C)及び正常時と母音発声時の鼻咽 腔の内視鏡検査時の写真(別冊No. 8D、E)を別に示す。 次に行うのはどれか。1 つ選べ。

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正解: d
正答
d
この問題のポイント
軟口蓋の長さ・形態が良好でも、発声時に鼻咽腔閉鎖が得られず開鼻声が続く場合は、咽頭弁移植術によって鼻咽腔閉鎖機能を補います。
解説
唇顎口蓋裂術後の開鼻声では、口蓋瘻孔、軟口蓋の短小、軟口蓋運動不全、咽頭側壁運動などを評価します。鼻咽腔内視鏡検査や発声時検査で閉鎖様式と閉鎖不全部位を確認します。
本症例は軟口蓋の長さ・形態が良好であり、発声時の鼻咽腔閉鎖不全が問題です。咽頭弁移植術では咽頭後壁から作製した弁を軟口蓋へ連結し、中央部を閉鎖して側方に呼吸路を残します。
治療選択のポイント
構音訓練だけで改善しない器質的鼻咽腔閉鎖不全では、閉鎖様式に応じて外科的治療を選択します。
画像の確認
実画像A・Bでは口蓋瘻孔を認めず軟口蓋形態も保たれているが、Cの発声検査で鼻漏出が示される。内視鏡像D・Eでは母音発声時にも軟口蓋と咽頭後壁の間に閉鎖不全が残るため、咽頭弁移植術で鼻咽腔閉鎖を補う。
選択肢の確認
a.口蓋形成術
本症例で次に行う処置ではありません。
口蓋形成術は未閉鎖の口蓋裂や一次手術に用います。本症例では軟口蓋の形態が良好で、次の処置としては適しません。
b.顎矯正手術
本症例で次に行う処置ではありません。
顎矯正手術は顎骨の位置異常や咬合を改善しますが、鼻咽腔閉鎖不全を直接改善する手術ではありません。
c.瘻孔閉鎖術
本症例で次に行う処置ではありません。
瘻孔閉鎖術は口蓋瘻孔が開鼻声の原因である場合に行いますが、本問の中心病態は発声時の鼻咽腔閉鎖不全です。
d.咽頭弁移植術
正答。次に行う処置として最も適切です。
咽頭弁移植術は鼻咽腔間隙を狭くし、発声時の閉鎖を補助するため最も適切です。
e.顎裂部骨移植術
本症例で次に行う処置ではありません。
顎裂部骨移植術は顎裂部の骨連続性や犬歯萌出を改善する目的で行い、開鼻声の治療ではありません。
覚えるポイント
- 開鼻声では口蓋瘻孔と鼻咽腔閉鎖不全を区別します。
- 内視鏡で軟口蓋・咽頭側壁の運動を評価します。
- 咽頭弁移植術は器質的鼻咽腔閉鎖不全に用います。