38AM83|第38回 臨床工学技士国家試験 過去問
血液の粘性に関して正しいのはどれか。
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正解: 3
正答
3
この問題のポイント
この問題では、血液の粘性と、血液が示す非ニュートン流体としての性質が問われています。
血液は、血漿の中に赤血球、白血球、血小板などの血球成分が浮遊している懸濁液です。
そのため、血液全体としては粘性が一定ではなく、ずり速度やヘマトクリット値の影響を受けます。
一方、血球を除いた血漿は、血液全体に比べてニュートン流体に近い性質を示します。
解説
ニュートン流体とは、ずり応力とずり速度が比例し、その比例係数である粘性係数が一定とみなせる流体です。
代表例は次のようなものです。
- 水
- 生理食塩水
- 血漿に近い液体
血液は、赤血球を多く含むため、単純なニュートン流体ではありません。
特に低ずり速度では赤血球が凝集しやすく、みかけの粘性が高くなります。
ずり速度が高くなると、赤血球凝集が解け、赤血球が変形・配向するため、みかけの粘性は低下します。
つまり、血液はずり速度によって粘性が変化する非ニュートン流体です。
血液の粘性に影響する主な因子は次のとおりです。
- ヘマトクリット値
- 血漿蛋白
- 赤血球の変形能
- 赤血球の凝集性
- 血管径
- ずり速度
ヘマトクリット値が高くなると、血液中の赤血球の割合が増えるため、粘性係数は増加します。
また、細い血管では赤血球が管の中心部に集まり、壁近くに血漿成分の多い層ができます。
これを集軸効果といい、みかけの粘性は低下します。
ひっかけポイント
集軸効果と連銭形成を混同しないことが重要です。
集軸効果では赤血球が流路の中心へ集まり、壁近くに血漿層ができるため、みかけの粘性は低下します。
連銭形成は赤血球が硬貨を積み重ねたように連なる現象で、低ずり速度で粘性を増加させる方向に働きます。
選択肢の確認
1.誤り。
ニュートン流体では、ずり応力 = 粘性係数 × ずり速度 という関係で考えます。ずり速度が粘性係数に比例するという表現は不適切です。また、血液は非ニュートン流体であり、粘性係数が一定とは限りません。
2.誤り。
ヘマトクリット値が増加すると、血液中の赤血球量が増えるため、粘性係数は増加します。減少するわけではありません。
3.正しい。
血球を除去すると、血漿が主体となります。血漿は血液全体に比べてニュートン流体に近い性質を示すため、血球を除去した液体はニュートン流体とみなせます。
4.誤り。
集軸効果では赤血球が血管の中心部へ集まり、壁近くに血漿層ができます。そのため、みかけの粘性は増加ではなく低下します。
5.誤り。
集軸効果は、赤血球が流れの中心に集まる現象です。連銭形成に起因するものではありません。連銭形成は赤血球凝集に関係し、低ずり速度で粘性を高める方向に働きます。
覚えるポイント
- 血液は、血球を含むため非ニュートン流体として振る舞います。
- 血球を除いた血漿は、ニュートン流体に近い性質を示します。
- ヘマトクリット値が上がると、血液粘性は増加します。
- 集軸効果では、赤血球が中心部に集まり、みかけの粘性は低下します。
- 連銭形成は、低ずり速度で血液粘性を高める方向に働きます。