准看護師試験の出題傾向分析
准看護師試験は都道府県知事が実施する試験で、毎回300問が出題されます。全国統一の合格基準は公表されていませんが、合格率は例年96〜99%と高水準で、令和7年度は受験者10,741人・合格者10,594人、合格率98.6%でした。ただし高い合格率は準備不要を意味しません。直近3年度・計900問を分析すると、基礎看護技術と疾病の成り立ちと回復の促進の2分野だけで全体の約4割を占める一方、看護の全領域から満遍なく出題されており、苦手分野を残さない網羅型の学習が合否を分けます。本記事では分野別の出題実態と、限られた時間で得点を最大化する戦略を解説します。
合格率と合格基準
| 回次 | 実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 令和7年度 | 2026年 | 10,741 | 10,594 | 98.6% | |
| 令和6年度 | 2025年 | 12,718 | 12,574 | 98.9% | |
| 令和5年度 | 2024年 | 12,726 | 12,499 | 98.2% |
受験者数・合格者数・合格率は各実施機関の公式発表値(出典)。合格基準の詳細・最新情報は必ず公式発表をご確認ください。
直近回(令和5年度)で出題が変化した分野
直近回(令和5年度)の総評
頻出分野ランキングと分野別対策
- 基礎看護技術毎回平均 62.3問(全体の21%)
直近3年度で187問と全分野最多で、全体の約2割を占めます。回ごとの出題は令和5年度69問、令和6年度56問、令和7年度62問と毎回60問前後。テーマ別では「活動・安楽・安全」(35問)と「清潔・衣生活援助」(33問)が双璧で、R05A44・R05A48のように体位変換や環境整備、清拭・洗髪の具体的手順を問う問題が続きます。「患者理解・心理的支援」(30問)、「終末期・死後のケア」(20問)、「検査・処置介助」(18問)も定番です。対策は、手技の根拠(なぜその順番か・なぜその角度か)をセットで覚えること。体位や罨法などの数値基準は表にまとめて確実に暗記し、過去問で出題パターンごと身につけるのが最短ルートです。この分野の完成度が総得点の土台を決めます。
- 疾病の成り立ちと回復の促進毎回平均 55.7問(全体の19%)
3年度合計167問、シェア約19%で第2位です。ただし令和5年度64問→令和6年度57問→令和7年度46問と減少傾向にあります。それでも毎回50問前後が出る主要分野であることに変わりはありません。頻出は「病理・症候」(35問)で、R05A20・R05A70のように炎症・腫瘍・主要症候の基本を問うもの。「感染症・免疫」(26問)、「脳神経・感覚器疾患」(17問)も繰り返し出題されています。学習指針は、疾患名の丸暗記ではなく、病態→症状→検査・治療の流れで整理すること。特に感染症は病原体と感染経路・予防策の対応を確実に押さえましょう。人体のしくみと働きと並行して学ぶと理解が深まり、成人看護の得点力にも直結する、波及効果の大きい分野です。
- 保健医療福祉と看護倫理毎回平均 31問(全体の10%)
3年度合計93問、全体の約1割で第3位。令和5年度31問→令和6年度28問→令和7年度34問と、令和7年度に増加しました。中心テーマは「看護倫理・権利擁護」(31問)で、R05A33・R05A34のようにインフォームド・コンセントや患者の権利を問う出題が続きます。「医療制度・統計」(21問)、「健康概念・国際保健」(17問)も定番です。対策の要点は2つあります。倫理分野は、患者の意思の尊重という原則に立ち返って選択肢を判断する練習を積むこと。制度分野は、医療保険・介護保険・看護関連法規の枠組みを図で整理して混同を防ぐことです。暗記量は多くありませんが確実に得点できる、費用対効果の高い分野なので、後回しにせず早めに一巡させておきましょう。
- 成人看護毎回平均 29.7問(全体の10%)
3年度合計89問ですが、注目すべきは推移です。令和5年度18問→令和6年度33問→令和7年度38問と2年で倍以上に増え、令和7年度には疾病の成り立ちと回復の促進(46問)に迫る主要分野へ成長しました。テーマでは「脳神経・感覚器看護」(16問)が最多で、R05B95・R05B96のような疾患別の観察・援助を問う出題が中心です。増加分は各疾患の看護に広く及ぶため、主要疾患について「病態の要点→観察項目→看護のポイント」を1セットで整理する学習が有効です。疾病の成り立ちで学んだ知識を看護の視点に引き直す作業を意識すると、2分野を同時に強化できます。今後もこの比重が続く前提で、優先度を高めに設定すべき分野です。
- 人体のしくみと働き毎回平均 28.7問(全体の10%)
3年度合計86問、毎回26〜31問と安定して出題されます。テーマ別では「循環・血液」(21問)が最多で、R05A3・R05A4のように心臓の構造や血液成分の基本を問う素直な出題が中心です。この分野の価値は配点以上にあります。解剖生理の理解は、疾病の成り立ち・成人看護・基礎看護技術の根拠理解すべての土台となるため、学習の最初期に固めるべき分野です。対策は、系統別(循環・呼吸・消化・神経など)に構造と機能をセットで整理し、図を自分で描いて確認すること。バイタルサインや血液検査値などの正常値は頻出の割に忘れやすいため、直前期にも見直せる一覧を作っておくと得点が安定します。
- 食生活と栄養毎回平均 17.7問(全体の6%)
3年度合計53問、毎回17〜19問とほぼ一定の安定分野です。テーマは「生活習慣病と栄養指導」(21問)と「栄養素・食品成分」(18問)に二分されます。前者はR05A22のように糖尿病・高血圧などへの食事指導を問うもの、後者はR05A10のようにビタミン・ミネラルの働きと欠乏症を問うものが典型です。出題範囲が明確で問われ方もパターン化しているため、短期間の集中学習で得点源にできます。ビタミン・ミネラルは「働き・欠乏症・多く含む食品」の3点セット、疾患別の食事療法は「制限するもの・勧めるもの」の対比表で整理しましょう。毎回全体の約6%を確実に取れる、準備が報われやすい分野です。
- 精神看護毎回平均 17問(全体の6%)
頻出テーマは精神疾患の理解、コミュニケーション・援助関係、気分障害・不安関連障害。直近の令和5年度でも16問と安定して出題されています。 出題数は多くないため、頻出テーマに絞った対策で十分です。
- 母子看護毎回平均 16.3問(全体の5%)
3年度合計49問、毎回15〜17問で安定しています。テーマは「妊娠・分娩・産褥」(23問)と「乳幼児・小児の成長発達」(18問)が2本柱です。前者はR05A128・R05A129のように妊娠経過や産褥期の変化を問い、後者はR05A135・R05A136のように発達の目安(原始反射、身長・体重、言語など)を問う出題が定番です。母性・小児とも、数値と時期の暗記が得点に直結します。妊娠週数ごとの変化、新生児の生理的特徴、月齢・年齢別の発達指標を時系列の表にまとめ、繰り返し確認しましょう。範囲が限定的で出題パターンが安定しているぶん、準備した受験生とそうでない受験生の差がつきやすい分野です。
分野別の出題数(全収録回の合計)
分野×回次のクロス集計
| 分野 | 令和5年度 | 令和6年度 | 令和7年度 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 基礎看護技術 | 69 | 56 | 62 | 187 |
| 疾病の成り立ちと回復の促進 | 64 | 57 | 46 | 167 |
| 保健医療福祉と看護倫理 | 31 | 28 | 34 | 93 |
| 成人看護 | 18 | 33 | 38 | 89 |
| 人体のしくみと働き | 29 | 26 | 31 | 86 |
| 食生活と栄養 | 17 | 19 | 17 | 53 |
| 精神看護 | 16 | 19 | 16 | 51 |
| 母子看護 | 15 | 17 | 17 | 49 |
| 薬物と看護 | 17 | 17 | 14 | 48 |
| 老年看護 | 15 | 13 | 15 | 43 |
| 感染予防と医療安全 | 9 | 15 | 10 | 34 |
頻出テーマ TOP10
- 疾病の成り立ちと回復の促進病理・症候35問
- 基礎看護技術活動・安楽・安全35問
- 基礎看護技術清潔・衣生活援助33問
- 保健医療福祉と看護倫理看護倫理・権利擁護31問
- 基礎看護技術患者理解・心理的支援30問
- 疾病の成り立ちと回復の促進感染症・免疫26問
- 母子看護妊娠・分娩・産褥23問
- 人体のしくみと働き循環・血液21問
- 食生活と栄養生活習慣病と栄養指導21問
- 保健医療福祉と看護倫理医療制度・統計21問
出題形式の統計(回次別)
| 回次 | 問題数 | 画像・図表つき | 4択 | 複数選択 |
|---|---|---|---|---|
| 令和5年度 | 300 | 1問 (0%) | 300 | – |
| 令和6年度 | 300 | 1問 (0%) | 300 | – |
| 令和7年度 | 300 | 3問 (1%) | 300 | – |
画像・図表つき問題や複数選択形式の比率は、実際の解き味と時間配分に直結します。 比率が高い回次が続く場合は、画像問題への慣れを演習に組み込んでおくのが安全です。
合格から逆算する学習戦略
よくある質問
准看護師試験の合格率はどのくらいですか?
例年96〜99%と非常に高い水準です。令和7年度は受験者10,741人・合格者10,594人で合格率98.6%、令和6年度は98.9%、令和5年度は98.2%でした。ほとんどの受験者が合格する試験ですが、裏を返せば不合格になると大きな痛手です。基礎を確実に固めれば十分合格できる試験なので、全分野をひと通り学習して穴をなくすことが何よりの対策になります。
合格基準・ボーダーラインは何点ですか?
准看護師試験は都道府県知事が実施する試験のため、全国統一の合格基準は公表されていません。各都道府県(または広域連合)で年1回実施されます。基準が非公表である以上、「何点取れば安心」という逆算はできません。合格率の高さから見て極端な高得点は不要と考えられますが、全分野で標準的な問題を確実に正解できる力を目標にするのが現実的です。
過去問は何年分解くべきですか?
最低3年分(900問)を推奨します。分野構成は3年間おおむね安定しており、清潔・衣生活援助(33問)や活動・安楽・安全(35問)など主要分野の頻出テーマは毎年繰り返し出題されています。1周で終わらせず、間違えた問題を中心に2〜3周し、選択肢ごとに正誤の理由を説明できる状態を目指すと確実です。全問単一解答型なので、消去法の練習にもなります。
最も配点が大きい分野はどこですか?
基礎看護技術です。直近3年度で187問と最多で、全体の約2割を占めます。次いで疾病の成り立ちと回復の促進が167問(約19%)で、この2分野だけで全体の約4割に達します。学習時間の配分もこの比率を意識しましょう。なお近年は成人看護が令和5年度18問から令和7年度38問へ急増しており、主要分野に加わりつつある点にも注意が必要です。
出題形式に特徴はありますか?
毎回300問というボリュームが最大の特徴です。形式面では複数選択問題が3年連続で0問、すべて単一解答型なので消去法が有効に使えます。画像を使う問題も令和5・6年度は各1問、令和7年度で3問と少なく、文章で知識を問う出題が中心です。奇をてらった問題は少ないため、標準的な知識を正確に覚えているかが問われます。300問を解き切る時間配分の練習として、通し演習をしておきましょう。
回次ごとの収録問題数
本ページはコクシメイク収録の全問題データから自動集計しています。分野の分類は編集部の整理に基づくもので、 公式の出題基準とは異なる場合があります。演習は学習アプリから、問題の閲覧は准看護師試験のページからどうぞ。