はり師・きゅう師国家試験の出題傾向分析

はり師・きゅう師国家試験は、東洋医学の理論・経穴の知識と現代医学の臨床知識の両方を問う全180問の試験です。1問1点・170点満点で102点以上(6割)という絶対基準で、科目別や実地の足切りはなく、総得点だけで合否が決まります。直近の第34回は受験者3,920人・合格者2,634人で合格率67.2%と、第33回と同率で推移しました。出題の中心は東洋医学臨床論(第34回33問)と臨床医学各論(同28問)で、この2科目だけで全体の3分の1を占めます。東洋医学系と現代医学系のどちらかに偏った学習では届かない構造になっており、両者をつなぐ横断的な理解こそが合格の鍵です。

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合格率と合格基準

直近の合格率67.2%第34回・受験3,920人/合格2,634
合格基準1問1点・合計170点満点で総得点102点以上(満点の6割)の絶対基準。科目別・実地の足切りはない(第29回から150点満点→170点満点に変更。数値ははり師のもの)。
回次実施年受験者数合格者数合格率
第34回20263,9202,63467.2%
第33回20254,1503,06667.2%
第32回20244,1762,89269.3%
第31回20234,0842,87770.4%
第30回20223,9822,95674.2%
第29回20213,8532,69870%
第28回20204,4313,26373.6%
第27回20194,8613,71276.4%
第26回20184,6222,66757.7%
第25回20174,5283,03267%

受験者数・合格者数・合格率は各実施機関の公式発表値(出典)。合格基準の詳細・最新情報は必ず公式発表をご確認ください。

直近回(第34回)の総評

第34回は受験者3,920人・合格者2,634人・合格率67.2%で、第33回の67.2%と全く同じ水準でした。第30回74.2%→第31回70.4%→第32回69.3%→第33回・第34回67.2%と緩やかな低下傾向が続いており、掲載している10回分では第26回の57.7%に次ぐ低さです。合格基準は170点満点中102点以上の絶対基準で変わっていません。科目構成を見ると、最大の東洋医学臨床論は第32回34問→第33回34問→第34回33問とほぼ一定で、臨床医学各論も29問→30問→28問と安定しています。動きがあったのは経絡経穴概論で、第33回の21問から第34回は24問へ増加し、3科目めの柱としての存在感を強めました。医療概論・衛生学・公衆衛生学・関係法規は3回連続で14問と完全に固定です。東洋医学概論は15問→13問、臨床医学総論は11問→13問と小幅な増減があります。画像問題や複数選択形式は直近3回で出題されておらず、全問が文章ベースの単一解答です。テーマ別では取穴法・体表指標、運動器・神経障害の施術、灸刺激と生体反応がそれぞれ3回分で17問と最多グループを形成しており、頻出テーマの集中度が高い試験と言えます。

頻出分野ランキングと分野別対策

  1. 東洋医学臨床論毎回平均 33.7問(全体の19%)

    第34回33問・第33回34問・第32回34問、3回計101問と全科目中最大のボリュームを持つ、この試験の主戦場です。内容は多層的で、運動器・神経障害に対する施術(3回計17問)、現代医学的鑑別(14問)、弁証論治・要穴治療(11問)、症例治療(10問)、弁証論治・配穴(9問)と続きます。第34回の34PM131〜34PM134のような施術問題や、34PM151〜34PM154のような症例治療が定番です。求められるのは、症候から病態を東洋医学・現代医学の両面で捉え、治療穴の選択まで一貫して導く力です。経絡経穴概論と東洋医学概論の知識が土台になるため、この2科目を固めてから取り組むと効率が上がります。100問超の過去問蓄積を病態別に整理し直すことが最良の対策です。

  2. 臨床医学各論毎回平均 29問(全体の16%)

    第34回28問・第33回30問・第32回29問と毎回30問前後を占める現代医学の中核科目です。頻出は運動器・整形外科疾患(33AM62ほか3回計12問)で、施術対象として日常臨床に直結する領域が重視されています。循環器・腎泌尿器・内分泌代謝(8問)や神経・筋・小児疾患、神経・認知症・神経筋疾患(各7問)といった神経系も安定して出題され、34AM83〜34AM88のような症例形式も10問あります。学習では、疾患ごとに好発年齢・特徴的症候・鑑別点を整理し、「この症候ならこの疾患を疑う」という臨床推論の型をつくることが重要です。東洋医学臨床論の現代医学的鑑別(14問)と内容が直結するため、ここでの理解はそのまま最大科目の得点にも波及します。

  3. 経絡経穴概論毎回平均 22.7問(全体の13%)

    第34回24問・第33回21問・第32回23問で、第34回に増加した要注意科目です。最頻出は取穴法・体表指標(34PM111ほか3回計17問)で、経穴の位置を骨度法や体表の指標から正確に特定させる問題が中心です。要穴・腧穴総論も8問出題されています。この科目は純粋な暗記量がものを言う一方、東洋医学臨床論の配穴問題(弁証論治・配穴9問、弁証論治・要穴治療11問)を解く前提知識でもあるため、実質的な配点は24問より大きいと考えるべきです。経穴は経脈ごとの流注順で覚え、要穴(五要穴・五兪穴など)は横断表で整理する二本立てが効率的です。毎日少量ずつ反復する学習と最も相性が良い科目であり、早期に着手して試験まで維持してください。

  4. 医療概論・衛生学・公衆衛生学・関係法規毎回平均 14問(全体の8%)

    3回連続で14問と完全に固定された科目です。内訳も安定しており、医療制度・医療倫理(34AM1ほか3回計12問)と、あはき法・保健医療法規(34AM11ほか12問)が二本柱です。試験の冒頭に配置されるため、ここで確実に得点して勢いをつけたい科目でもあります。あはき法は自身の資格の根拠法であり、免許・業務・広告制限などの規定は確実な暗記が必要です。衛生学・公衆衛生学は制度や統計の知識が中心で、直前期の詰め込みが利きやすい反面、範囲は広いので過去問で頻出項目を絞り込むのが賢明です。3回分42問の過去問を回すだけで出題パターンはほぼ網羅でき、投下時間に対する得点効率は全科目でも上位です。

  5. 東洋医学概論毎回平均 13.7問(全体の8%)

    第34回13問・第33回15問・第32回13問で推移する、東洋医学系の理論的土台です。陰陽五行、蔵象、気血津液、病因病機といった基礎理論の正確な理解が問われます。この科目の真価は13問という枠を超えたところにあります。東洋医学臨床論の弁証論治系の問題(3回計20問規模)は、概論の理論が身についていなければ手も足も出ません。つまり概論の完成度が、実質的に30問以上の得点を左右します。学習では用語の丸暗記を避け、五行の相生相克や蔵象の生理・病理を体系として説明できるレベルを目指してください。概論→経絡経穴→臨床論という東洋医学系の学習順序を守ることが、遠回りに見えて最短です。

  6. 臨床医学総論毎回平均 11.7問(全体の6%)

    第34回13問・第33回11問・第32回11問と、直近で微増した科目です。診察法・症候学・治療学の総論など、臨床医学各論の前提となる横断的知識が問われます。各論が疾患単位の縦割り知識なのに対し、総論は症候や検査から診断へ至る横のつながりを扱うため、各論と往復しながら学ぶと双方の理解が深まります。バイタルサインや主要症候の意味、診察・検査の基本は、東洋医学臨床論の現代医学的鑑別(3回計14問)でも問われる内容であり、ここでも科目間の波及効果が働きます。単独の対策に時間をかけすぎず、臨床医学各論とセットで1つの学習ブロックとして扱うのが効率的です。

  7. リハビリテーション医学毎回平均 11.3問(全体の6%)

    第34回11問・第33回11問・第32回12問と毎回11問前後で安定しています。運動学の基礎、主要疾患のリハビリテーション、評価法などが出題範囲です。施術者として機能障害を評価し回復を支援する視点は実務に直結しており、臨床医学各論の運動器・神経系疾患の知識と重なる部分が多い科目です。関節可動域や筋力評価、脳血管障害や脊髄損傷後の機能回復といった定番テーマを軸に、評価と治療の枠組みを整理してください。3回分34問の過去問でパターンを掴めば安定得点源にできる、コストパフォーマンスの良い科目です。運動器の解剖学(筋・神経支配)と合わせて学ぶと記憶が定着しやすくなります。

  8. はり理論毎回平均 10問(全体の6%)

    毎回10問で完全に固定された、はり師の専門理論科目です。頻出は鍼刺激と神経生理(33PM167ほか3回計8問)で、鍼刺激がどのような神経性・体液性の反応を引き起こすかという機序の理解が中心です。鍼の構造・刺法といった技術的知識と、刺激の生体反応という生理学的知識の二層で構成されるため、生理学の基礎があると格段に学びやすくなります。出題数は10問と多くありませんが、範囲が明確で過去問の再現性が高く、短期間で仕上げて満点を狙える科目です。同じく毎回10問で固定のきゅう理論(灸刺激と生体反応が3回計17問と頻出)と合わせて20問のブロックとして扱い、鍼灸それぞれの刺激特性を対比しながら整理すると効率的です。

分野別の出題数(全収録回の合計)

東洋医学臨床論101(19%)
臨床医学各論87(16%)
経絡経穴概論68(13%)
医療概論・衛生学・公衆衛生学・関係法規42(8%)
東洋医学概論41(8%)
臨床医学総論35(6%)
リハビリテーション医学34(6%)
はり理論30(6%)
きゅう理論30(6%)
解剖学27(5%)
生理学27(5%)
病理学18(3%)

分野×回次のクロス集計

分野第34回第33回第32回合計
東洋医学臨床論333434101
臨床医学各論28302987
経絡経穴概論24212368
医療概論・衛生学・公衆衛生学・関係法規14141442
東洋医学概論13151341
臨床医学総論13111135
リハビリテーション医学11111234
はり理論10101030
きゅう理論10101030
解剖学99927
生理学99927
病理学66618

頻出テーマ TOP10

  1. 経絡経穴概論取穴法・体表指標17
  2. 東洋医学臨床論運動器・神経障害の施術17
  3. きゅう理論灸刺激と生体反応17
  4. 東洋医学臨床論現代医学的鑑別14
  5. 医療概論・衛生学・公衆衛生学・関係法規医療制度・医療倫理12
  6. 医療概論・衛生学・公衆衛生学・関係法規あはき法・保健医療法規12
  7. 臨床医学各論運動器・整形外科12
  8. 東洋医学臨床論弁証論治・要穴治療11
  9. 臨床医学各論症例問題10
  10. 東洋医学臨床論症例治療10

出題形式の統計(回次別)

回次問題数画像・図表つき4複数選択
第34回1800(0%)180
第33回1800(0%)180
第32回1800(0%)180

画像・図表つき問題や複数選択形式の比率は、実際の解き味と時間配分に直結します。 比率が高い回次が続く場合は、画像問題への慣れを演習に組み込んでおくのが安全です。

合格から逆算する学習戦略

科目構成から導かれる戦略はシンプルです。東洋医学臨床論(3回計101問)と臨床医学各論(87問)の2大科目で全体の3分の1を占め、そこに経絡経穴概論(68問)が続きます。ただし学習順序は配点順ではありません。東洋医学臨床論は東洋医学概論と経絡経穴概論の知識を前提とし、臨床医学各論は臨床医学総論や解剖学・生理学の基礎の上に成り立つためです。推奨する流れは、序盤に解剖学・生理学と東洋医学概論・経絡経穴概論の暗記基盤を構築し、中盤に臨床医学総論・各論とリハビリテーション医学で現代医学の臨床知識を固め、終盤に東洋医学臨床論の症例・配穴問題で全知識を統合する三段構成です。はり理論・きゅう理論(各毎回10問)と医療概論・衛生学・公衆衛生学・関係法規(毎回14問)は範囲が限定的で過去問の再現性が高いため、直前期の集中学習で仕上げて構いません。合格基準は170点満点中102点以上の絶対基準で、足切りはありません。したがって理論上は苦手科目を捨てることも可能ですが、東洋医学系と現代医学系は相互に依存しているため、大科目を捨てる戦略は現実には機能しません。むしろ「どの科目も6〜7割、得意科目で8割」という全体底上げ型が合っています。過去問は3回分・計540問を最低2周。1周目は科目別で弱点を特定し、2周目は180問通しで解きます。3回計17問の最頻出テーマ(取穴法・体表指標、運動器・神経障害の施術、灸刺激と生体反応)は3周する価値があります。合格率が67.2%まで下がっている現状を踏まえ、演習では常に7割超を目標にしてください。本サイトで科目別・回数別の演習が可能です。

よくある質問

はり師・きゅう師国家試験の合格率はどのくらいですか?

直近の第34回は受験者3,920人・合格者2,634人で合格率67.2%でした(数値ははり師のもの)。第30回74.2%→第31回70.4%→第32回69.3%→第33回67.2%→第34回67.2%と緩やかな低下傾向が続いています。掲載している10回分では第27回の76.4%が最高、第26回の57.7%が最低で、おおむね7割前後で推移する試験ですが、直近は下限に近い水準です。

合格基準・ボーダーラインはどうなっていますか?

1問1点・合計170点満点で、総得点102点以上(満点の6割)の絶対基準です。科目別や実地の足切りはなく、総得点のみで合否が決まります(第29回から150点満点が170点満点に変更されました)。ボーダーが変動しないため目標設定は明確ですが、本番での失点リスクを考えると、過去問演習では120点前後(7割)を安定して取れる状態を仕上がりの目安にしてください。

過去問は何年分解くべきですか?

まず直近3回分・計540問を確実に消化することが基本です。科目構成は3回を通じてほぼ固定されており(東洋医学臨床論33〜34問、臨床医学各論28〜30問など)、過去問がそのまま本番の設計図になります。取穴法・体表指標、運動器・神経障害の施術、灸刺激と生体反応など3回分で17問に達する頻出テーマは、繰り返し問われる知識の核であり、最低2周、頻出テーマは3周する価値があります。

最も配点が大きい分野はどこですか?

東洋医学臨床論が第34回33問(3回計101問)で最大、次いで臨床医学各論が28問(同87問)、経絡経穴概論が24問(同68問)です。この上位3科目で全180問のほぼ半分を占めます。ただし東洋医学臨床論は東洋医学概論(第34回13問)と経絡経穴概論の知識が前提となるため、実質的な学習比重は「東洋医学系ブロック」全体で考えるべきです。配点の大きい科目ほど他科目との依存関係が強いのがこの試験の特徴です。

科目別の足切りはありますか?

ありません。合格判定は総得点102点以上(170点満点)のみで、科目別基準や実地試験の足切りは設けられていません。そのため理論上は特定科目の失点を他科目で補えますが、東洋医学臨床論のような大科目は概論・経穴の知識の上に成り立つため、基礎科目を捨てると連鎖的に失点が拡大します。足切りがないことは「捨て科目をつくれる」ではなく「配点構造に沿って戦略的に得点配分を設計できる」と理解するのが正解です。

回次ごとの収録問題数

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